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追憶の道標

エッセイ
出典:尾仲浩二 写真集「Faraway Boat」より

やあやあ いつぞやは

ずいぶんとご無沙汰でした
ええ。ホント久しぶりで

 

お変わりないようで

いやいや何をおっしゃいます
それが何よりですよ

そうそうこんな感じでしたね。昔は

懐かしいですね
今はもうすっかり変わってしまって
面影も何も無くなって別世界ですよ。別世界

時代の流れなんでしょうかね?
そう言われても、どこか虚しさだけが空回りしてしまって

なんか上手く言い表せないんですけどね
私としては

けど久しぶりに「見た」と言うか、「帰ってきた」と言うか
うん。ちょっと安堵しました

そうそう、この坂の曲がり角を下ると雑貨屋がありましたよね
よくお使いに行きましたよ。小銭握りしめて

…。そんな店は無かった?
いや、確か左手の郵便ポストの所ですよ?

無かったですかね?
まあいいか

私の記憶が曖昧なのか
夢と勘違いしているのか

もちろん、記憶の街がこの街と同一ではないのは十分承知。

しかし、どこか訪れたことがあるような気がして。

少なくとも今の街並みよりは知っている気がして。

 

いずれにせよ
迷い込んでしまったみたいです

けど、随分と居心地が良くて

どうやら追憶の世界の方が性に合っているみたいです

出典:尾仲浩二 写真集「slow boat」より

そうですね。その通りかもしれません

現実逃避ですよね。
ありがとう。そんな適切な言葉をかけていただいて

自分だけがそうかもと思っていたので少し安心しました

分かっていましたよ
でも追憶の道標に沿って行こうと思います

戻って来れるかどうか
定かではありませんが

気付けば「時」の中に閉じ込められるかもしれませんね

しかし心配は無用
今、この時間もいずれその「時」になるわけで

あっという間ですよね

そもそも私たちは
その境界線上にいるのですから

 

写真家・尾仲浩二公式ホームページ
https://www.onakakoji.com/

I guess
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