- Irregular referrals
- Buffalo Springfield Again / Buffalo Springfield (1967)
- Cheap Thrills / Janis Joplin Big Brother & The Holding Company (1968)
- The Yardbirds Featuring Performances by Jeff Beck,Eric Clapton,Jimmy Page / The Yardbirds(1970)
- The Psychedelic Sounds Of The 13th Floor Elevators /The 13th Floor Elevators (1966)
- In The Court Of The Crimson King(キング・クリムゾンの宮殿)/ King Crimson (1969)
- Peter Gabriel 3 / Peter Gabriel (1980)
- Heaven and Hell / Black Sabbath (1980)
Irregular referrals
不定期なアルバムジャケットのご紹介シリーズ。ようやく第2弾です。相変わらずの独断と偏見によるチョイスはご了承下さい。今回は少し怖くも意味深なジャケットを選別してみました。
Buffalo Springfield Again / Buffalo Springfield (1967)
出典:https://www.amazon.co.jp/
- Mr. Soul (Neil Young)
- A Child’s Claim to Flame (Richie Furay)
- Everydays (Steve Stills)
- Expecting to Fly(Neil Young)
- Bluebird (Steve Stills)
- Hung Upside Down (Steve Stills)
- Sad Memory(Richie Furay)
- Good Time Boy(Richie Furay)
- Rock & Roll Woman(Steve Stills)
- Broken Arrow(Neil Young)
1966年に結成されたBuffalo Springfield(バッファロー・スプリングフィールド)の2枚目のアルバムです。
天使と、蝶と、青い鳥が舞う森の中というファンタジー溢れるショットの中央に、
メンバー達の肖像画が浮かび上がる「うすら怖い」ジャケットデザインです。
奥深い思想性を感じ、手に取った時、チョット戸惑いを覚える程でした。
アルバムジャケットをデザインしたのはEve Babitz(イブ・バビッツ)。
1970年代のアメリカの自由奔放なヒッピー~ドラッグ文化などの、カウンターカルチャーを体現した小説家であり、芸術家でもある人物です。
この「Buffalo Springfield Again」のアルバムデザインは彼女の代表作の1つとされています。
Stephen Stills(スティーヴン・スティルス)、Richie Furay(リッチー・フューレイ)の2人が、Neil Young(ニール・ヤング)に出会ったことがきっかけとなり編成されたバンドです。
ウェストコーストロックの新時代を担った傑作で、この三者三様の個性がぶつかり合った類まれな名盤であり、実験的でサイケっぽい当時のサウンドも特徴的です。
確か、ギターのエフェクターで“ファズ”が出て来たばかりの頃で、蝉の鳴き声みたいにジージー鳴るギター音も当時ならではで楽しめます。ブルースやR&B、カントリーなどをルーツとしたサウンドで、ロックを語る上で外せない1枚です。
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Cheap Thrills / Janis Joplin Big Brother & The Holding Company (1968)
出典:https://www.amazon.co.jp/
- Combination of the Two
- I Need a Man to Love
- Summertime
- Piece of My Heart
- Turtle Blues
- Oh, Sweet Mary
- Ball and Chain
フラワー・ムーヴメントを代表するブルースの女王、Janis Joplin(ジャニス・ジョプリン)。
彼女の代表的なアルバムの1枚、「Cheap Thrills」です。
アメリカンコミックのようなジャケットに目を奪われます。
デザインは漫画家であり、イラストレーターでもあるRobert Crumb(ロバート・クラム)の作品です。
当初はバンドのメンバー全員がベッドに裸で横たわる写真を使う予定でしたが、都合によりというか、当然というかNG。そして代わりに、ジャニスがロバート・クラムの大ファンだったということもあり、採用されたとの事。
またこのアルバムは“実況録音編集盤”といわれ、ライブ会場に居るかのような収録で、ジャニスの圧倒的な歌唱力と存在感が際立っています。
そんなサウンドと、このコミック・デザインというジャケットの組み合わせも、当初は、突飛な感じでしたが、今となってはジャニスの名盤アルバムのジャケットとして定着しています。
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The Yardbirds Featuring Performances by Jeff Beck,Eric Clapton,Jimmy Page / The Yardbirds(1970)
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- Drinking Muddy Water
- Hot House Of Omagarashid
- I Wish You Would
- The Train Kept A-Rollin’
- Smile On Me
- Jeff’s Boogie
- I Ain’t Got You
- What Do You Want
- White Summer
- Got To Hurry
- Little Games
- Lost Woman
- Only The Black Rose
- Farewell
- I Ain’t Done Wrong
- A Certain Girl
- Ever Since The World Began
- Tinker, Tailor, Soldier, Sailor
- Turn Into Earth
- Here ‘Tis
言わずと知れたイギリスのロックバンドThe Yardbirds(ザ・ヤードバーズ)。
Jeff Beck(ジェフ・ベック)、Eric Clapton(エリック・クラプトン)、Jimmy Page(ジミー・ペイジ)が在籍していた伝説のバンド。実際この三人が同時に在籍していた訳ではなく、それぞれの時期はズレていました。
そんな三人のプレイを収集、編集したコンピレーションアルバムがこの「The Yardbirds Featuring Performances by ~」で、ファンの間では垂涎モノの1枚です。
独特なデザインのアルバムでカバーアートは、
アメリカの彫刻家、木版画家のJames Grashow(ジェームス・グラショー)によるものです。
現在では段ボールを使った彫刻作品でも著名です。
ジャケットを見ただけでヤードバーズと分かるほどの個性と存在感は圧倒的で、
アート的にも主張の強い作品です。
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また、ジェームス・グラショーはこの他にも
Jethro Tull(ジェスロ・タル)
のアルバムStand Upや
同じく
The YardbirdsのLive Yardbirds
(Featuring Jimmy Page)
のデザインも手掛けています。
The Psychedelic Sounds Of The 13th Floor Elevators /The 13th Floor Elevators (1966)
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- You’re Gonna Miss Me
- Roller Coaster
- Splash 1 (Now I’m Home)
- Reverberation
- Don’t Fall Down
- Fire Engine
- Thru The Rhythm
- You Don’t Know
- Kingdom Of Heaven
- Monkey Island
- Tried To Hide
ご察しの通り、一見してわかるサイケなアルバムです。
“眼”をモチーフとしているのか?と思いきやその中にまた“眼”があるという、まさにグルグル、止まないループ、ヤバいか?これは?
The 13th Floor Elevators(13th フロアー・エレベーターズ)。アメリカ、テキサス州出身のバンドです。
1965年から1969年までという短い活動期間ながら、その独自のサウンドはサイケデリックロックと称され、後の音楽シーンやバンドに多大な影響を及ぼしました。
中でも、特徴的な点が、ジャグ・バンドで使用されていたジャグという楽器(瓶?のような)を、エレクトリック・ジャグに変様させ使用し、耳慣れない「トゥクトゥク」という音を効果的に取り入れていたことでした。
このサイケなサウンドをそのまま表現したかのようなジャケットデザインは、13th フロアー・エレベーターズと同じく、テキサス州オースティン出身のグラフィックデザイナー、John Cleveland(ジョン・クリーブランド)によるものです。独特なデザインは“サイケ”の象徴となりました。
また、13th フロアー・エレベーターズは、瞑想、哲学、薬物を通して、サイケデリック体験をライフスタイルや音楽へと取り込むスタイルで、ロックシーンでも異彩を放っており、影響力は強大でした。
しかし、オーバー・ドーズ(薬物過剰摂取)による障害やそれによる法的拘束の問題など抱え、精神的にも肉体的にも苛まれて、活動停止を余儀なくされます。早すぎた伝説のバンドと呼ばれる所以です。
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In The Court Of The Crimson King(キング・クリムゾンの宮殿)/ King Crimson (1969)
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- 21st Century Schizoid Man
- I Talk To The Wind
- Epitaph
- Moonchild
- The Court of the Crimson King
小学生の頃。近所のレコード屋で「宇宙戦艦ヤマト」のレコードを探していた時のことです。
このレコードジャケットを見つけ、(スゲー。怖っ!)と思いつつ、どんな音楽か?という興味もあったものの結局のところ、見て見ぬふりをした逸品です。
1969年にリリースされたKing Crimson(キングクリムゾン)の1stアルバム。
プログレッシブ・ロックを確立した記念碑的作品です。ロック史上外せない1枚です。
この傑作であり、インパクトのあるアルバムジャケットをデザインしたのは、
Barry Godber(バリー・ゴッドバー)という青年でした。
キングクリムゾンはロバート・フィリップを中心としたバンドでしたが、このアルバムでは、楽曲以外の詩を作詞家のPeter Sinfield(ピート・シンフィールド)が書いています。
そしてこのピート・シンフィールドが勤めていた会社の同僚で、コンピューター・プログラマーだったのがバリー・ゴッドバー。
このことがきっかけで、デザインを依頼されて承諾したと言われています。
ピートから渡されたデモ楽曲を聴きながら描いたのが、この絵だったそうです。鏡に映った自分の肖像画をモチーフにしたとも言われています。
奇しくも、この作品がバリー・ゴッドバーの遺した最初で最後の作品となりました。
デザインを仕上げ、アルバムが発売された翌年の1970年2月、心臓発作で他界しました。
享年24という若さでした。
ピートの書く終末的な歌詞、恐怖の連鎖などといった言葉をイメージしたその画風は、そのサウンドと共に圧倒的衝撃を与えた歴史的作品となりました。
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Peter Gabriel 3 / Peter Gabriel (1980)
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- Intruder
- No Self Control
- Start
- I Don’t Remember
- Family Snapshot
- And Through the Wire
- Games Without Frontiers
- Not One of Us
- Lead a Normal Life
- Biko
1969年に結成されたGenesis(ジェネシス)のVo. Peter Gabriel(ピーター・ガブリエル)のソロ3作目のアルバムです。ソロに転向してからの傑作といわれ、密度の濃い楽曲揃いのアルバムです。
先鋭的な音作りも印象的ですし、ロバート・フィリップ、ケイト・ブッシュ、ポール・ウェラーなどゲストミュージシャンも多彩で豪華です。
これまでの作品でも、“自分でない自分”、もう一人の別人が共存する世界をモチーフにしてきたピーター・ガブリエル。その視点に摺り合わせたかのようなジャケットも個性的です。
そのジャケットデザインはヒプノシスによるものです。
ヒプノシスはイギリスのデザイン・アートグループで1968年にロンドンを中心に活動を始めます。
ピンク・フロイド、レッド・ツェッペリンやピーター・ガブリエルが在籍していたジェネシスなどのアルバムデザインを手掛ける様になります。
デザインのプロ集団といったところでしょうか。レコード・ジャケットを芸術作品としての表現の域にまで高めた先駆者でもあります。肖像画の顔半分が崩れていくという表現で、矛盾や対比といった「二面性」を表したデザインです。
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Heaven and Hell / Black Sabbath (1980)
出典:https://www.amazon.co.jp/
- Neon Knights
- Children of the Sea
- Lady Evil
- Heaven and Hell
- Wishing Well
- Die Young
- Walk Away
- Lonely Is the Word
咥え煙草の粋な若い衆ならぬ、喫煙天使。タイトルも「天国と地獄」。それはそれで見事なマッチングです。
Black Sabbath(ブラック・サバス)は、John Michael “Ozzy” Osbourne(オジー・オズボーン)が在籍した、イングランド出身のロック・バンド。
Heaven and Hellは1980年にリリースされたされた9作目のアルバムですが、この時すでにオジー・オズボーンはブラック・サバスから脱退しており、オリジナル・メンバーとは異なるラインナップによる初のアルバムとなりました。
アルバムデザインは「SMOKING ANGELS」(スモーキング・エンジェルス)と呼ばれており、
Lynn Curlee(リン・カーリー)によるものです。
出典:https://www.black-sabbath.com/
彼のデザインの元になった写真が残されています。
1928年に撮影されたもので、
大学のクリスマスイベントの束の間の休憩時間に、
舞台裏で喫煙する、天使に扮した女性達の写真です。
この写真をモチーフに制作されたものでした。
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また、リン・カーリーはこのアルバム以前にも
Blue Oyster Cult(ブルー・オイスター・カルト)というバンドのアルバムデザインも手掛けており、
これがきっかけとなってブラック・サバスのアルバム制作サイドから依頼が来たと言われています。
また、リン・カーリーが手掛けたアルバムジャケットはこの2枚のみで、現在は子供向けの本の執筆とイラストを中心に活動しています。
リン・カーリー作品
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音楽鑑賞。
視覚と聴覚、そしてそれらによって導かれるイメージの3点を可能な限り近づけていこうとする作業。
ジャケット・デザインはその一角を担う重要な役割があります。
反対に、敢えて「全く関係が無い」というのがコンセプトというアルバムも、最近の傾向としてありますが。
それもまた面白いものですが、この続きはまたの機会にということで。