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ゆるくいこうぜ!と言われましても・・・そのさじ加減がわかりまへん。

エッセイ
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再会

きっかけは某日、とある居酒屋での出来事でした。

その日は長年の友人との久々の再会。

何年振りだろう。あれも話そうこれも話そう。

懐かしい記憶とチョッとこそばゆい感情が入り乱れて、早い話が年甲斐もなく、ワクワク。

「やあやあ。先ずは一献。元気そうで何より。」

現在の状況、思い出話、よもやまの会話もひと段落。杯を交わし、肴に箸を運ぶ、渋み溢れるときでした。

そんな時、仕切りの向こうから、声高なヤングの声。

 

「何カタい事言っちゃってンすか?マジで。ゆるく行きましょうよ!まったく。ヤダな~。」

 

ついたての隣りのテーブルは大いに盛り上がっている気配で、この一言でドッと湧く始末。

「はあ?『ゆるく行きましょう』?何が。『ゆるく行きましょう』?はあ?」

我らが若かりし頃には無かったワード。そんな事を言おうものなら

「何を言っとるか!貴様!たるんでおる!気合いが足りんわ!ガハハハッ。この馬鹿チンが~!。」

ほらほらこんな調子でしたよ。

そんな僕たち、昭和世代。テヘッ。 教わった事はやる気、根気、元気。そうそう三つの気。ハイこれ大事。

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途方に暮れて

 

そして、新人類だのなんだかんだ言われても、何とか前向きに検討しながら生きて参りました。

結果、苦労話が自慢話。

そう、ウザがられてもあたしゃ言いたいのさ。

それこそつい今しがたまで、この歳になると無理が利かないとか、頑張った証(?)の血糖値の高さ比べ、疲労の蓄積自慢大会。 

どうだい?俺の方が苦労してンだぜって。

座右の銘は「一生懸命」「努力あるのみ」。そんな感覚が当たり前のような世代。あら?何かおかしくって?

それがこんなにも朗らかに否定されるとは。不覚でした。

さりとて、隣りのテーブルに行って説教をする程の元気がある訳でもなく、彼等の言葉通りにヘラヘラ開き直る度胸すらなく、中途半端な沈黙が流れました。悲しいかなこれが。


イヤイヤ、それどころか「ゆるく」の意味すら把握していないオッサン二人。ましてやそのさじ加減など知る由 も無し。早い話、我々は途方に暮れてしまったのでした。

そんな否定的な感情に苛まれながらも、こちらも久しぶりの宴。

忘れちゃいけません。杯が進み、話に花が咲くにつれ、先程の“事件”はとうに置き去りにされました。

気が付けば、隣の乱痴気騒ぎも終了しており、店内には蛍の光が流れ始めて。

今さっき、あくびを噛み殺したばかりのような店員に、柔らかに追い出され、我々も帰路に就く事に。

互いの健康と、少しばかり見えてきた老後を気遣いながら、再会を誓いました。

今日はありがとう。帰りは気を付けて。では。

二度目の途方に暮れる

 

少しぼやけてきた街のネオンを横目に、フラフラと人混みをすり抜け、ホッとため息を1つつきました。

その後、一人終電に揺られながら、ふと、考えました。

「ゆるく行きましょう?ゆるくって言われてもどんな感じ?さっきの彼らの言うゆるいって自分がイメージするゆるいとはちがうのか?う~んそのさじ加減がわかりまへんな。」

アルコールが染み渡った脳ミソをフル回転させて。

「ふむふむ。ならば自分なりのゆるさを追求してみてはいかがかな?」

車窓に映る、もう一人のくたびれた自分が語りかけて来ました。

そうかそんなブログがあってもいいな。うん。いいかもいいかも。

—「オマエなかなかイイ事言うじゃん。」—「いや~それほどでもないよ。照れるな~。ハハッ」

アホくさ。一人問答かいっ。だいぶ酔ったなこりゃあ。そろそろヤバいかな?    ・・・zzz。

…「…さん!…客さんってば!お客さん!終点ですよ。大丈夫ですか?

 

ゲッ、マジか!やっちまった。寝過ごした。   

またしても不覚。

そして今日、二度目の途方に暮れる。

えっ?なになに?それをゆるいって言うんだって? 

 …なるほどね。

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