From Martinique to the Caribbean and to the world
「Racines vol.3」 (1996)
- Naissez
- il Est Ne la Divin Enfant
- Oh la Bonne Nouvelle
- Allons y Donc
- Michaud veillait
- Joseph Mon Cher Fidele
- Douce nuit
- Pour un Maudit Peche
- Mazingouin
- Allez Mon Voisin
- Dans Le Calme de la Nuit
- Minuit chretien
- Les Enfants Du Bon Dieu
- Louez Jah
マルティニークのクリスマス・アルバムとしてリリースされた、「Racines vol.3」です。
そうは言ってもほとんどが馴染みのない クリスマスソングばかりですが、特に違和感も無くすんなりと耳に入ってきます。前作の延長線上にあることは間違いなさそうです。
しかし、サウンド的にはこれまでとはガラリと変わったものになっています。「Racines vol.1」「Racines vol.2」では、シンセの音などが効果的に使われていましたが、この 「Racines vol.3」では全編アコースティックになっています。
実はvol.1、vol.2では、マルチニーク音楽に傾倒していた、マジ・ヴァスコ・ノヴェラス(スイス、キーボード奏者)を迎え、彼がプログラミングしたベーシック・トラックに、現地の楽器音をダビングしていくといったサウンド構成でした。
これが今回はアコーディオンをフューチャーした編成で生音のみ。バンドとしての臨場感と心地よさが感じられます。聴き比べてみるのもおススメです。
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「Racines vol.4」 (2001)
- Aline Vole
- Mango Zo
- Laissez Pleurer Mon Coeur
- Parfum Des iles
- Johan
- Regina Coco
- La Grev Bare Mwen
- Meddley Mona
- An Ti Zagre
- Parfum a Li
- Regina Coco
- Troubadour Des iles
一連のRacinesシリーズとは別に、オリジナルの楽曲のアルバムを、リリースしているカリですが、vol.3から5年後の2001年に発表したRacinesシリーズの第4弾です。
ビギン黄金期の才媛、レオナ・ガブリエルの古典のカヴァーを中心に、カリらしい軽やかなバンジョーは健在で、マルティニークの文化的アイデンティティを重要視する姿勢は一貫しています。
ジェルトリュード・セナンというシャンソン・クレオールのベテラン、また、カリの叔父にあたるマックス・ランセイ(彼も島で有名なヴォーカリスト)などといった、マルティニークの伝統音楽であるベルエア、シュヴァル・ブワ、ビギンなどで活躍しているベテランミュージシャンの参加も、話題となりました。
国内外での、カリに対する評価の指針の1つとなりました。
アルバムジャケットも、マルティニークの民族楽器、ベレ太鼓、チ・ブワを操るベルエアの演奏者の写真で、ルーツに対する敬愛の深さを感じます。
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「Racines Caraïbes, vol.5」 (2007)
出典:https://www.amazon.co.jp/
- Nou tro Pre Pou Nou Si Loin (Kali)
- Island In The Sun (Kali)
- Haiti Cherie (Emeline Michel & Kali)
- El Manicero (Adys Fuste Sanchez & Orlando Poleo)
- Ban Mwen An Ti Bo (Jocelyne Beroard & Victor Treffe)
- Rum And Coca-Cola (Kali)
- Chagrin La Tco (Sylviane Cedia & Papy)
- Adieu Foulards (Tanya Saint-Val & Kali)
- Fanm Matinik Dou (Axell Hill & Ralph Thamar)
- Bridgetown Market (Rico Sax & Kali)
- Se Wou Ki Sav (Kali)
- Dominik Sa Ou (Jeff Joseph)
- La Mecha (Kali)
- Jamaica Fairwell (Kali)
マルティニークの伝統音楽とオリジナルとの独自の融合を探究してきたカリが、その視点をカリブ海域にまで広げた“集大成”とも言えるアルバムです。
ゲスト・ミュージシャンもタニヤ・サン・トバル、ラルフ・タマール、ハイチのエミリーヌ・ミッシェルなど、カリブ海の有名アーティストが参加。
このアルバムを制作に当たってカリは、カリブ海の島々を自ら旅して回り、現地のスタジオで各々の島の音楽家たちとセッションをしたそうです。
カリの求道的とも言える、真摯でひたむきな音楽とその活動の場は、マルティニークからカリブへ、さらに世界へ進むものでした。
是非とも一度は耳にして頂きたい音楽です。
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Kaliとして
美しいビーチが広がり、青い海が果てしなく続くカリブ海の楽園のような島、マルティニーク島。
そして開放的で長閑な風景の中にも、どこか郷愁を誘い、哀憫を漂わせる、独特な南国のサウンド。
前述したカリがフランスで結成していたレゲエ・バンド「第 6 大陸」。
そのマネージャーの父親が亡くなった時に譲り受けたのが、年代物の4弦アルト・バンジョーでした。
以後、彼が“伴侶”とする楽器でした。その時のことをカリはこう述べました。
バンジョーはまるで僕の化身のようだった。」
マルティニークとそのルーツを敬愛した、カリメロの“カリ”らしい言葉でした。
クレオール文化学入門篇 ーテクスト・映像・音楽を手がかりとしてー1 今井 勉