普段の料理で必要になってくるのが調理器具。
刻んだり混ぜたり、煮たり焼いたりと色々な作業があり、それぞれに合った調理器具があります。
その中でも炒めるときに必要なのがフライパン。料理の入門的アイテムとも言えます。
使用頻度の高いフライパンですが、それだけに劣化も早く、すぐに焦げ付くようになったりしがちです。
買い替えることも多い調理器具ですが、実際、種類も多くどれがいいのか迷うのではないでしょうか?
今回そんなフライパン選びのためにフライパンの種類とおススメのフライパンをご紹介したいと思います。
ぜひご参考にしてみて下さい。
そもそもフライパンは何でできている?
まず、「そもそもフライパンは何でできているのか?」というコトから。
多くの方が「鉄」を思い浮かべるのではないでしょうか?
確かに昔はフライパンといえば黒くて重い鉄のフライパンが一般的でしたが、現在のフライパンは様々な素材で作られています。
主な素材として、アルミニウム、鉄、ステンレス、チタン、銅の5種類があります。
ちなみに、ホームセンターや量販店でよく見かける一般的なフライパンの多くはアルミニウム素材、それにフッ素加工などをしてあるものが主流です。
またそれぞれの素材にメリット・デメリットがあり、フライパンを選ぶ際のポイントになってきます。
ここではそれらの材質の特徴を見ていきましょう。
アルミニウム
from 遠藤商事
手入れが簡単で軽く、使い勝手がよいのがアルミニウム製フライパンです。
扱いやすく、料理初心者の方におススメです。
銅の次に熱伝導性に優れていて、弱い火力でも対応可能。
逆に高温で調理すると焦げ付きやすい面があります。
表面にフッ素樹脂加工などのコーティングが施されているものは、価格も安いので手軽に手に入れることができます。しかし、使用経過でどうしても表面の加工がはがれてしまうことから、基本的には2〜3年で買い替えが必要といわれています。
表面加工を施していないアルミニウムのフライパンは、銀色の本体で調理の食材やソースの色合いが分かりやすい利点があります。
細かい温度調整ができるのでパスタやリゾットなどイタリア料理でよく使われています。
鉄
from 遠藤商事
鉄製なのでキズが付きにくく、丈夫なのが鉄製のフライパンです。
高温調理が可能。熱が均一に入り焼きムラを抑え、短時間で美味しく仕上がります。
また、食材から出た余分な水分がすばやく蒸発するので、野菜炒めはシャキッとした食感に仕上がります。
鉄なので重く、フライパンに油を染み込ませる「油ならし」などのお手入れが必要です。
使うごとに油がなじんでいき、食材が焦げ付きにくくなっていくのも特徴で、錆を防ぐ手入れをしていれば約10年以上使用できる素材といわれています。
鉄製フライパンは高温に強いため、火力を必要とする中華料理などでよく使われています。
ステンレス
from KIPROSTAR
丈夫でサビにくい上に、汚れが落としやすく、手入れも簡単なのがステンレス製フライパンです。
一度熱すると冷めにくく保温性がありますので、煮込み料理や余熱調理に適しています。
一方で、熱伝導率が悪く、温まるまでに時間がかかります。
また、調理前に油をしっかりなじませておかなければ食材がくっつきやすく、焦げついてしまいます。
熱伝導率をよくするためにこのステンレスに、アルミなどの金属をはさんだ多層構造になっているフライパンもありますが、その分重量が重くなっている場合があります。
チタン
from 長谷元
チタンは強度があり、割れたり折れたりしにくい素材です。
酸や食塩に対して強い耐食性を持っており、錆びが発生しにくいのが特徴です。
さらに、重量も軽く扱いやすいのがチタン製フライパンです。
しかし、ほかの金属と比べると熱伝導率が低く温まりにくいことが難点。
そのため、まんべんなく火を通したい調理などには向いていません。
銅
from 銅銀銅器店
鉄・アルミニウムよりさらに熱伝導率が高いのが銅製フライパンです。
料理や食材に素早く、均等に熱を加えることができます。
また、錆にくい素材ですので長く使うことができ、銅に含まれる銅イオンに殺菌・抗菌効果があるのも利点です。
しかし、重く、ぶつけたり落としたりすると変形しやすい素材でもあり、取り扱いに注意が必要です。
価格も他の素材に比べて高めです。
以下、フライパンの素材の特徴をわかりやすくまとめてみました。
素材 | メリット | デメリット |
---|---|---|
アルミニウム |
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|
鉄 |
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ステンレス |
|
|
チタン |
|
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銅 |
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表面加工・コーティング
色々な素材によって作られているフライパンですが、それぞれ、焦げ付きやすいなど難点があり、それらをカバーするために工夫されているのが表面加工・コーティングです。
これら表面加工・コーティングにも種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
フッ素樹脂加工
フッ素樹脂加工とは、フッ素樹脂を金属やセラミックスなどの基材の表面に塗膜化する加工のことです。
焦げ付いたり、くっついたりしにくく、調理後もスポンジで軽くこすれば、簡単に汚れを洗い流せます。
しかし、高温調理には不向きです。コーティングが剥がれてしまいます。
また、使い続けるうちにコーティングが剥がれてくる欠点があり、数年で買い替えが必要です。
金属ヘラなどを使わない、空焚きをしない、強火で使わないなどの注意が必要です。
ここで店頭などでも良く目にする「テフロン加工」という表示。
どのような加工なのか?
実は、このフッ素樹脂加工とほぼ同じと考えていただいて良いかと思います。
テフロン加工という呼び方をよく耳にします。
テフロンとは、アメリカのデュポン社が開発し、商標登録したフッ素樹脂のひとつ。
このデュポン社が開発した技術を使って作られたフライパンのことを、「テフロン加工」のフライパンといいます。
フッ素樹脂の総称として、テフロンという呼び名を使うことはありますが、実際には、テフロンはフッ素樹脂の一種です。
マーブルコート
マーブルコートは、大理石粒子を混ぜ込んだフッ素樹脂を使った加工です。
マーブルコートの表面は凹凸があり、調理道具などとの擦れが低減されて、フライパンが摩耗しにくくなります。
ダイヤモンドコート
ダイヤモンドコートは、フッ素樹脂にダイヤモンドを混ぜたものをコーティングしています。
摩耗に強くコーティングが剥がれにくいので、フライパンを長く使いたい方におススメです。
チタンコート
チタンコートは錆に強い表面加工です。
耐久性が高く、劣化しにくいのでコーティングが長持ちします。
セラミックコート
セラミックコートは陶器などに使われるセラミック粒子でコーティングしたものです。
耐久性だけでなく、耐熱性も高く弱火でも熱を通しやすくなります。
その反面、陶器なのでぶつけたり、落としたりした場合には割れてしまう可能性もあります。
以下、フライパンのコーティングの特徴をまとめてみました。
加工方法 | 特徴 |
---|---|
フッ素樹脂加工 | 一般的な加工・コーティング 低摩擦の特性をもつ |
マーブルコート | フッ素樹脂に大理石の粉を混ぜ、耐久性をアップ |
ダイヤモンドコート | フッ素樹脂に人工ダイヤモンドを混ぜ、耐摩耗性が高く傷つきにくい |
チタンコート | フッ素樹脂にチタンを混ぜることで、最高の耐久性 酸や塩分に強くサビにくい |
セラミックコート | フッ素樹脂加工はせずに表面にセラミックをコーティングし耐熱性が高い 逆に衝撃に弱く割れやすく、焦げ付きやこびりつきにも注意が必要 |
IHヒーターか? ガスコンロか?
フライパンの素材とコーティングについてご紹介しましたが、もっとも基本的なポイントをひとつ。
それは調理の際の熱源です。フライパンも熱源によって使える場合、使えない場合があります。
一般的にはガスによる熱源が主流ですが、オール電化の傾向が強まりIHクッキングヒーターも普及しています。このため、フライパンにもIH対応のものとそうでないものがあります。
ご購入の際は「IH対応の有無」を確認する必要があります。
IHクッキングヒーターをお使いの方はIH対応と表示された商品をお買い求めください。
ガスコンロをお使いの方は、フライパンや鍋がIH対応/非対応に関わらず、問題なくお使い頂けるので、ご安心ください。
またIH対応のフライパンはほとんど底裏が別に加工されたステンレス板が打ち込まれています。
区別の目安にしていただくと良いでしょう。
見た目で判断がつかない場合は裏底に磁石を当てて、磁石が付けばIHに使えると判断できます。
鉄は当然磁石が付きますので鉄のフライパンはIHでも使えます。
from 貝印
●「IH(対応)」と表示されている商品はガス火にも問題なくお使い頂けますが、逆に「ガス(火専用)」と記載されている製品はIHにはお使い頂けません。
●IHに使えるフライパン・鍋は外側の底面が別加工されているものがほとんどです。丸穴が空いたステンレス板が打ち込まれていたりします。底裏をチェックしてみて下さい。
●判断の目安に、底裏面に磁石を当ててみる方法もあります。磁石が付けばIHに使えると判断できます。
選び方のポイント
フライパンの素材、コーティング、使用する熱源についてご紹介してきました。
この他ご存知のようにフライパンには大小様々なサイズがあり、その深さも色々なものがあります。
使用されるご家庭の人数や調理する量に適した大きさを選んでいただくと良いでしょう。
また素材によっては取っ手部分が熱くなるものなどがあります。
逆に取っ手が取り外し可能なものなどがあります。
それぞれの料理スタイルに合わせて使いやすい種類を選んでいただくと良いでしょう。
フライパン選び方のチェックポイントをまとめてみました。
●対応熱源
●フライパン本体の素材
●表面加工の有無、種類
●サイズ・その他の機能
フライパンご購入の際は、以上の点をご参考にしてみて下さい。