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Bruno Major

Bruno Major 音楽

自然で親しみやすいメロディーと柔らかなヴォーカル。
現代風のアレンジでありながら、ノスタルジックで、何処かで聴いたトラッド・フォークのようなサウンド。

そんな形容が相応しいBruno Major(ブルーノ・メジャー)

自らインターネットに楽曲をアップすることで、多くのリスナーを獲得し、2017年に本格的にデビュー。
デビュー・アルバムは4億回を超えるストリーミング再生を記録しているイギリスのシンガーソングライター、

その温かみのあるソウルフルなサウンドはSam Smith(サム・スミス)、Charlie Puth(チャーリー・プース)、Lianne La Havas(リアン・ラ・ハヴァス)らに加え、Billie Eilish(ビリー・アイリッシュ)など、多くのミュージシャンをも魅了しています。

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Who is bruno major?

Bruno Major(ブルーノ・メジャー)。
1988年7月 、英国ロンドン郊外のノーサンプトン生まれ。

父親がギターを弾いていたこともあり、幼少期から自然に興味を持ち、ギターを手にするようになりました。

ギターを弾き始めたのは7歳の頃。
その後約2年間ほど正式にクラッシック・ギターを習い、基礎を習得。

13歳の時にはロックの速弾きに夢中になり、Eddie Van Halen(エディ・ヴァン・ヘイレン)のコピーに没頭。
16歳頃になるとジャズに傾倒していき、これらの時期はギターの練習に1日6時間もの時間を費やしていたといいます。

またジャズに関しては、ブルーノ・メジャー自身が当時を振り返り

「ジャズを最高の音楽だと考えていました。
ジャズはバックボーンのようなもので、ジャズのハーモニーが音楽の仕組みの基本です。」
astonmics.comより引用

と語っており 、リスペクトしているジャズ・ミュージシャンとしてJoe Pass(ジョー・パス)、Bill Evans(ビル・エヴァンス)、Chet Baker(チェット・ベイカー)を挙げています。

クラッシック、ロック、ジャズと多ジャンルに渡る音楽に触れ、それらを若い時期に吸収していったブルーノ・メジャー。
そしてこれらの体験が、後に彼が作り出すサウンドのベースになっていくことになります。

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Setback and Resurrection

その後、バーやレストラン、結婚式などでギターを演奏し始め、2010年リーズ音楽大学を卒業後、ロンドンに移ってからはギタリストとして、有名アーティストのサポートを務めるようになりました。
そしてこの時期に自身で楽曲を書き始めるようになります。

それまで作詞作曲に携わっていなかったブルーノ・メジャーでしたが、これを機にライティングに開眼。
その後2年間で400曲というハイペースで楽曲を書き上げました。

そして自身のオリジナル曲を Soundcloud アカウントにアップロードすると、彼の音楽はレーベル、出版社などの注目を集め、2013年に Virgin Records(ヴァージン・レコード) とレコーディング契約。

活動の拠点をロサンゼルスに移します。

そして翌2014年、4曲を収録したEP Liveをリリースしました。

Live (2014年)

  1. The First Thing You See (Live)
  2. Home (Live)
  3. Old Fashioned (Live)
  4. Bad Religion (Live)
「ベースにPino Palladino(ピノ・パラディーノ)、キーボードにジェイソン・レベロ、プロデュースはEthan Johns(イーサン・ジョンズ)。夢のような状況だった」artists.teamwass.comより引用

というように名立たるセッション・ミュージシャン達と共演し、前途洋々と思われましたが、しかしこれでヴァージン・レコードとの契約は突如打ち切り。
慌ただしくも短い8ヶ月の製作期間でした。

落胆したブルーノ・メジャーはロンドンに戻り、その活動は2年間停滞してしまいます。

そんな彼を再び創作活動へと導いたのが、ウィンザーの劇団でシェイクスピア劇の音楽を書く仕事でした。

また、この劇中曲の制作を通じて、現在コラボレーターである Phairo(ファイロ)と出会うことになります。

A Song For Every Moon

このシェイクスピア劇の楽曲制作が、ブルーノ・メジャーにとって「解放された」セッションとなり、再びソングライターとしての自信を与えるものとなりました。

そして作曲活動を再開。
2016年〜2017年には、1か月に1曲ずつ1年間にわたって、ダウンロード/ストリーミングで配信していく形で楽曲をリリースし始めます。

ここで興味深いのが、当時スタジオで録音する予算が無く、基本的にブルーノ・メジャー自身による、手作りの楽曲だということ。
アパートの部屋にマイク1本立てて録音し、それをインターネットにアップする形で自主リリースされたもので、DAW世代ならではの音楽制作の可能性を示して見せました。

これらの曲を集めて発表されたアルバムがA Song For Every Moon」でした。

A Song For Every Moon (2017年)

  1. Wouldn’t Mean A Thing
  2. There’s Little Left
  3. The First Thing You See
  4. Easily
  5. Home
  6. Like Someone In Love
  7. Just The Same
  8. Second Time
  9. Fair-Weather Friend
  10. Places We Won’t Walk
  11. Cold Blood
  12. On Our Own

冒頭コーラスで始まるイントロが印象的な「1.Wouldn’t Mean A Thing」
このアルバムの全体像を象徴するナンバーです。

そしてSpotifyで1千万回再生されて話題になった「4.Easily」。

ブルーノ・メジャーの独特の憂いを帯びた声とトラックが馴染みやすく、スッと耳に入ってくるサウンド。
圧倒的なストリーミング再生を記録しているのも納得できます。

そしてブルーノ・メジャーのヴォーカルもさることながら、その経験に裏打ちされたギタープレイは、派手さはないものの要所を押さえた演奏で、そのサウンドの重要な構成を担っています。

Roots of Songwriting

Randy Newman(ランディ・ニューマン)Jerome Kernジェローム・カーン)Cole Porterコール・ポーター)Billy Joel(ビリー・ジョエル)Paul Simon (ポール・サイモン)Bob Dylan(ボブ・ディラン)

Randy Newman(ランディ・ニューマン)

Jerome Kernジェローム・カーン)

Cole Porter(コール・ポーター)

年代を問わず錚々たる顔ぶれ。
いずれもブルーノ・メジャーが影響を受けたミュージシャンです。

前述のように幼少期から音楽に親しみ、ジャズを学んだ彼が、これまでに聴いた音楽はジャンルも多岐にわたり膨大な量でした。作詞作曲をするにあたって、これらのアーティストの影響を受けたと彼自身も公言しています。

そして、特に影響を受けたというのがランディ・ニューマン。

「彼は私の一番のヒーローです。彼は私を作詞作曲に導いた人であり、必ずしも愛について書く必要はないことを教えてくれました。ジャズのハーモニーを古典的な曲の構造に組み込むことを学び、 彼は私に最も大きな影響を与えてくれました。」artists.teamwass.comより引用

聴きやすく落ち着いた馴染みのあるフレーズ。
ブルーノ・メジャーの音楽が、懐かしく、それでいて何処か儚さを感じるのは、かつて耳にした往年のミュージシャン達の名曲のエッセンスを継承しているからかもしれません。

そして柔らかなヴォーカル。
意外にも以前は喉を振り絞るタイプのヴォーカル・スタイルで、現在とは正反対だったそうです。

本アルバムで聴ける心地良いヴォーカルはチェット・ベイカーとの比較がよく取り上げられますが、この点に関しても逆にブルーノ・メジャー自身もチェット・ベイカーを好きなヴォーカリストとして挙げており、その影響が伺えます。

しかし、ここで特徴的なのはブルーノ・メジャーが作詞作曲とヴォーカル、アレンジなどによる音楽性=サウンドを別物として捉えていることです。

歌詞・メロディー・コードによる作詞作曲をするいわゆるシンガーソングライター。
そしてその曲を歌い、演奏するそれぞれのパートに特化したミュージシャン。

この二つを明確に分けており、分業制とでもいうべきスタンスで楽曲を制作している点です。

自身の楽曲でも、そのカラーに合わせて効果的にヴォーカルを寄せているといわれています。

そしてさらに彼の音楽を特徴付けているのが、そのサウンド・プロデュースです。
Radiohead(レディオヘッド)Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)の名を挙げており、その影響を受けたと述べています。

もともとギタリストであるブルーノ・メジャー。
自らの楽曲を自作で配信するには、作詞作曲からプロデュースまで一人でこなさなければなりません。
そのために一連の作業を分けて捉え、制作した方が効率的なのは正論。

作詞作曲に加えてアレンジやサウンド・プロデュースまでをライティングのビジョンとして捉えていることで、統一感のある彼独自の音楽性が見事に表現されています。

To Let A Good Thing Die

アルバム「A Song For Every Moon」をリリースした2017年には、早くもアメリカとヨーロッパの 6 都市でツアーを行い、翌年2018年は米を横断するツアーへと、積極的にライヴを行ったブルーノ・メジャー。
続いてサム・スミスのUKアリーナ・ツアーのオープニングアクトを務めました。

そして2020年、およそ2年半ぶりとなるアルバムがリリースされました。

To Let A Good Thing Die (2020)

  1. Old Soul
  2. The Most Beautiful Thing
  3. Nothing
  4. Regent’s Park
  5. Old Fashioned
  6. She Chose Me
  7. Figment Of My Mind
  8. Tapestry
  9. I’ll Sleep When I’m Older
  10. To Let A Good Thing Die

前作の延長線上にあるアルバムですが、楽曲の幅が広がりバリエーションに富んだナンバーを聴くことができ、ブルーノ・メジャーの才能が再認識されるアルバムです。

前作とは少し趣の違ったメロウでありながら、ジャージャーなナンバー「1.Old Soul」
「3.Nothing」は時代を超えて聴き継がれそうなクラシカルな曲。

「6.She Chose Me」。
オリジナルは前述の
ランディ・ニューマンの曲。ブルーノ・メジャーによるカヴァーバージョンです。

そしてこちらはランディー・ニューマンのオリジナル。

ブルーノ・メジャーのカヴァーとその解釈から、偉大なソングライターへのリスペクトが伺えます。

そして注目すべきは、「8.Tapestry」。
実はこの曲は前作「A Song For Every Moon」より以前に書かれたもの。
前述したシェイクスピア劇の楽曲を制作していた頃に出会った Phairo(ファイロ)との初めての共作で、シンガーであるLiv Dawson(リヴ・ドーソン)のためにかかれたものです。

ブルーノ・メジャーが挫折~再起、そしてリリース、大ヒットへと至るターニングポイントに書かれた曲です。

また、ファイロは前作、そして今回のアルバムと共同プロデューサーとして参加。
コラボレーターとして重要な存在となっています。

また、今アルバムではビリー・アイリッシュの兄であるプロデューサー/ソングライターのFinneas O’Connell(フィニアス・オコネル)もプロデューサーとして参加しています。

post pandemic

2枚目のアルバム「To Let A Good Thing Die」がリリースされた2020年前後から、新型コロナウィルス(COVID-19)が世界的に蔓延。

各地でロックダウンなどの措置が取られ、多くのアーティスト達がその影響を受ける事態となり、ブルーノ・メジャーも例外ではありませんでした。

ツアーは全てキャンセル、音楽活動も制限されたため、地元であるイギリス・ノーサンプトンに戻り自粛生活を強いられました。

そしてロックダウン解除後、早速アメリカ・ロサンゼルスに渡り半年間で楽曲を書き上げ、制作されたのがアルバム「Columbo」。

Columbo (2023)

  1. The Show Must Go On
  2. Tell Her
  3. Columbo
  4. We Were Never Really Friends
  5. When Can We Be Be
  6. A Strange Kind Of Beautiful
  7. You Take the High Road
  8. 18
  9. Tears in Rain (for Granny)
  10. St Mary’s Terrace
  11. Trajectories
  12. The End

アルバムタイトルの「Columbo」とは、ブルーノ・メジャーがロサンゼルスで購入したヴィンテージのメルセデスベンツに付けた愛称のこと。

「僕たちは(COVID-19によって)自由を奪われ、閉じ込められた気分だった。~中略~
これまで当たり前だと思っていた日常が全て奪われてしまった。
だから、僕にとって“コロンボ”は自由の象徴であり、僕に曲を書かせてくれた存在なんだ。」
アルバム「Columbo」ライナーノーツより抜粋
愛車と共に自由と解放感を満喫していたブルーノ・メジャーでしたが、不運にも交通事故に遭い“コロンボ”は大破。しかし、この「事故」で出来たのがタイトル曲3.Columbo。
そしてこの曲がきっかけでアルバムの楽曲が次々と書き上げられたと語っています。
華やかなピアノのイントロに導かれる1.The Show Must Go On。ニールヤングの楽曲を彷彿とさせるナンバーでアルバムは始まります。
先述の3.Columbo。サイモン&ガーファンクルに影響を受けたかのような、シンプルなギターのアルペジオに加え、柔らかなブルーノ・メジャーのヴォーカルが印象的です。
そして本アルバムの中で最も感傷的で美しいナンバー6.A Strange Kind Of Beautiful。
定評のあるソングライティングを象徴する楽曲です。

ラスト12.The End は、メジャー自身も影響を受けたというクイーンの楽曲を感じさせ、ブライアン・メイを思い起こさせるギター・オーケストレーションが印象的。
また、今回も共同プロデューサーは前作同様ファイロを起用。サウンドの重要な方向性を担っています。

Trajectories

11曲目「Trajectories」。
ピアノをバックに淡々と歌われるナンバー。

「Trajectories」には“軌跡”という意味があります。

1stアルバム「A Song for Every Moon」に収録された、「Places We Won’t Walk」、そして2nd「To Let A Good Thing Die」の同タイトル曲「To Let A Good Thing Die」

そしてこれに続く第3弾の楽曲として書かれたのが「Trajectories」。

ブルーノ・メジャー自身も

「この曲は3部作の最後のように感じるんだ」アルバム「Columbo」ライナーノーツより抜粋

と語っています。

どのナンバーもピアノをバックに歌われており、様々な感情を綴った3つのストーリー。
ブルーノ・メジャーのアルバムに秘められた“軌跡”
のようでもあります。

「Trajectories」は一旦の完結であり、そして次なる布石かもしれません。

Timeless

ブルーノ・メジャーが紡ぎ出す音楽は新しくもあり、何処か懐古的でもあります。
それは先人達の功績を学び、それを糧とした彼独特のライティング、そして感性にあります。

名曲は時代を越えて語り継がれていくと言われます。
過去と未来を繋ぐ現在の音。それがまさにブルーノ・メジャーの音楽。

時代を超えた音楽です。

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