PR

NEW ORDER Ⅰ 浮遊する音像

音楽
スポンサーリンク

空に放たれた整合性

1978年9月、Joy Division(ジョイ・ディヴィジョン=ニュー・オーダーの前身バンド)は、地元マンチェスターのグラナダTVの番組「So it Goes」に出演しました。
場所はオールド・グラナダ・スタジオ。

そのTV番組は当時、隆盛を迎えた“インディーズ・レーベル”の1つである、ファクトリーレコードのオーナーだったトニー・ウィルソンが司会を務める番組でした。

2017年7月ニュー・オーダーは「マンチェスター・インターナショナル・フェスティバル」に出演するため再びそのオールド・グラナダ・スタジオのステージに立つ事になりました。

「new order so it goes 公式画像」の画像検索結果"

出典:https://mif.co.uk/

ニュー・オーダーの共演者は12台のシンセサイザーの編成によるオーケストラで、演奏するのは国立ノーザン音楽大学の学生12名でした。
この奇跡の競演を収録したアルバムが、2019年7月にリリースされた『Σ(No,12k,Lg,17mif)New Order+Liam Gillick:So It Goes..』です。

Σ(No,12k,Lg,17mif)New Order+Liam Gillick:So It Goes..

「Σ(No,12k,Lg,17Mif)」の画像検索結果"
出典:https://www.amazon.co.jp/
  1. Times Change
  2. Who’s Joe
  3. Dream Attack
  4. Disorder
  5. Ultraviolence
  6. In a Lonely Place
  7. All Day Long
  8. Shellshock
  9. Guilt Is a Useless Emotion
  10. Sub-Culture
  11. Bizarre Love Triangle
  12. Vanishing Point
  13. Plastic
  14. Your Silent Face
  15. Decades
  16. Elegia
  17. Heart & Soul
  18. Behind Closed Doors

ご試聴はコチラ↓

ニュー・オーダーの「∑(No,12k,Lg,17Mif) New Order + Liam Gillick: So it goes..」
アルバム・2019年・18曲

出来ればヘッドホンで大音量で聴いてほしいアルバムです。

いきなりのシンセサイザー・アンサンブルによる重厚な1曲目からロックサウンドへの転換そして、その2つが融合、調和していく展開に耳を奪われていきます。

4曲目「Disorder」はジョイ・ディヴィジョン時代の代表曲。
しかも“封印された名曲”だけに感慨モノです。

また、『既存の楽曲を解体し、再構想そして再構築する』とプレスリリースされた通り、
10曲目はヒット曲となった「Sub-Culture」、11曲目の「Bizarre Love Triangle」など、
シンセ・オーケストラの重厚なサウンドで甦り、新たな境地を見せてくれます。

全18曲というセットリストですが、があっという間に流れていきます。

残念ながら今回、ライヴの映像はリリースされませんでしたが、それを要せずとも音源だけでも“浮遊”するアルバムです。

12台のシンセサイザーとのアンサンブルの為に計算された楽曲の整合性は、ニュー・オーダーのバンドとしての独自のスタンス、一貫した彼等の“音楽”とも符号するかもしれません。

スポンサーリンク

『Σ(No,12k,Lg,17mif)New Order+Liam Gillick:So It Goes..』

今回のこの暗号のようなアルバムのタイトルですが、ここにLiam Gillick(リアム・ギリック)という名がクレジットされています。

彼のことについて少し。1964年生まれ。イギリス出身、現在はニューヨーク在住。
アイルランド現代美術館やグッデンハイム美術館など、各国で展覧会を開催したコンセプト・アーティストで、1990年代に世界的注目を集めたYBA(Young British Artists)の草創期のアーティストとして知られています。
イギリスの現代アートの重要な人物の一人です。

そして、その彼が今回のオールド・グラナダ・スタジオのライヴ・ステージの演出と舞台美術を務め、ニュー・オーダーとのコラボレーションが実現したのです。

出典:http://www.neworder.com/

それでは、タイトルを見ていきましょう。

Noは、New Order(ニュー・オーダー)。
12kは、上述した12人のシンセサイザー奏者。
Lgは、先程紹介したLiam Gillick(リアム・ギリック)。
17mifは、2017年のこのライヴの根本であるイベント、Manchester International Festival
(マンチェスター・インターナショナル・フェスティバル)
Σは、それらを総和する意味。
そして39年前に始めて出演したTV番組、So It Goes

かつて、ジョイ・ディヴィジョンとしてこのステージに立った彼らがニュー・オーダーとして、再び同じステージに立ち、演奏するという記念すべきライヴ。

しかし、原点回帰、懐古主義などといった陳腐なスタンスではないことは、
このアルバムを一聴すれば明白です。
かつての曲をここまで再構築し、新たな方向性を示した深い意義の
ある1枚です。

比類なき境地へ

NOMC15

そしてもう1枚推薦したいのが「NOMC15」。

2017年にリリースされた、これもライヴアルバムで、先に紹介したSo It Goes..の前作に当たります。

2015年にリリースされた、「Music Complete」に伴う一連のツアーで英ブリクストン・アカデミーでのライヴを収録したアルバムです。

この2015年といえば、ニュー・オーダーが今の5人編成に変わり新たなスタートをした年でもあります。

「NOMC15」の画像検索結果"

出典:https://www.amazon.co.jp/

ご試聴はコチラ↓

ニュー・オーダーの「NOMC15 (Live)」
アルバム・2017年・19曲

ジョイ・ディヴィジョン時代からニュー・オーダーまでのベスト曲が詰め込まれたライヴとなっています。

新生ニュー・オーダーの力強いパフォーマンスはこれまでの長いキャリアによる経験値を裏付けるもので、英国ロックシーンにおいて重要なバンドの1つであることは間違いないでしょう。改めてその事を認識させられるライヴ盤です。

2020-3

NEW ORDER来日公演

出典:https://rollingstonejapan.com/

そして今回、2020年3月にニュー・オーダーの来日公演が決定。
およそ4年振りの来日となり、東京、大阪で3公演が予定されています。

上述した
『Σ(No,12k,Lg,17mif)New Order+Liam Gillick:So It Goes..』(2019)
をリリースしたばかりの来日公演で、ニュー・オーダーの名曲に加えて、ジョイ・ディヴィジョンの曲も披露されるとのことで、従来のファンならずとも興味深い公演となりそうです。

これを機に馴染みがなかった方もそのニュー・オーダー」の世界に触れてみてはいかがでしょうか?

ライヴの詳細はこちら☟
https://www.creativeman.co.jp/

1978年から始まったその歴史は、ポストパンク/ニューウェーブから試行錯誤し、テクノサウンド、エレクトロ、ダンスミュージックへと変遷しながらそれぞれの要素を呑み込み、時にはロックに還元され、結果あらゆるジャンルを取り入れた比類なきバンドとなりました。

40年のキャリアを経て完成された感のあるニュー・オーダーですが、実はまだ彼らの中ではまだ途中。通過点に過ぎないのかも知れません。

進化し続けるこの孤高のバンドは、また新たな世界を提示してくるのでは?そう期待して。

この記事が気に入ったら最新ニュース情報を、
いいねしてチェックしよう!
音楽
シェアする
ねこまたぎ みのるをフォローする
タイトルとURLをコピーしました